最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)798 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人林弘の上告理由について。
しかし、原審のした事実認定によれば、訴外Dは、被上告会社の代表者として、
その権限を濫用し、同会社の損害において自己及び自己の経営する株式会社E商店
の利益をはかる目的で本件手形五通を上告人の代理人Fに交付譲渡し、保高はその
際Dの右権限濫用の事実を知つていた(右各事実は、原審がその挙示の証拠によつ
て認定した判示間接事実に徴し首肯できなくはない)というのであるから(従つて
本件では所論商法二六五条の適用は問題にならない)、かかる事実関係の下におい
て、原判決が、上告人は被上告人に対し、本件手形五通の権利を取得し得ないとし
た判断は正当というべきである。�
所論は、ひつきよう、独自の見解に立つて原判決に、所論違法ある如く主張する
に帰するから採るを得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 高 木 常 七
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 斎 藤 朔 郎
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